2021年を振り返る

どうも,◤◢◤◢◤◢◤◢です. 今年も例年通りTwitterの画像付きツイートを眺めながら2021年を(キーボードを中心に)振り返ってみたいと思います.


1月

昨年より設計を進めていたAcperience12の試作を進めていた.

詳しくは以下のポエムにまとめているが一言でまとめると処女作の12キーマクロパッドDozen0のセルフリメイク. PCBのサンドイッチ構造ながら完成度はそれなりに高く仕上がったと思う.

yynmt.hatenablog.com

販売形態など諸々に迷いがあり,ICを経てGBを行う流れとなった. 初のGBということもあり色々と気合を入れて取り組んでいた.


2月

今から思えばGB期間を長く設定しすぎたし,ソフトリミットの設定を誤った. このミスは後々ゆっくり響いてくる.

このときA12のGBを進行しながらRetopology65を設計していた. Acperience70のProMicro版を2020年に中断していたので,頒布しやすく組み立ても容易なキットを目指していた.

ついでにRetopology65を設計しているちょうど同じ頃謎の小型基板も同時並行で進めていた.


3月

謎の小型基板はバンダイサウンドロップのようなキーを押すと音声が流れる小型のおもちゃ. もちろん基板剥き出しではなく3Dプリントケースも合わせて設計している. このサウンドロップモドキの設計に関しては需要があるのであればある程度オープンにしてもいい.

A12は側面を覆う3Dプリントケースも用意した. サンドイッチ構造の安っぽい外見を少しだけ良く見せられる. これは事前のICでも触れていた内容で必要としていない人もいたことからGBのキットには含めず別売という形をとった.

A12の3Dプリントケースとまったく同じ構造でA70用のケースも設計した. このケースはその構造こそとてもシンプルなもののとても打鍵感が向上する. ここまでの心地よい打鍵感をサンドイッチ構造で実現できるとは思っていなかった. この3Dプリントケースを用いたサンドイッチ構造の設計が2021年の設計のベースとなる.

このときRetopology65はほぼほぼ完成していた. ただボトムプレートのデザインでかなり疲弊してしまいモチベーションがかなり落ちていた. 今思うと基板上にメッシュを手描きするという無謀なことはすべきではなかった.


4月

3月末にA12のGB受付を締め切り,着々と準備を進めていた. ビルドガイドの画像をすべてFreeCAD上で用意してLEGOブロックの説明書のようなルックに近付ける新たな試み. 実際の写真を用いると後から修正を行う際に写真の再撮影など手戻りが大きく発生するが,これならそれもなく画像がすべて同品質に保てて見栄えもいい. このビルドガイドの作成方法はこれ以降のキーボードすべてで採用しており,今後も続けていく.

A12はPCBAを行っているので動作確認を行ってから発送する必要があった. QC PASSのキラキラ光るホログラムシールShigezoneから購入した. 相当な枚数をまとめて購入したのであと何年かは買い増す必要はない.


5月

A12のビルドガイド作成方法を応用してサウンドロップモドキの簡易組み立てマニュアルを作成していた. これはとある方々へこっそりお送りしているので公に販売もしていないし,今後誰かに販売することもおそらくないと思う.

そしてA12のGBは2月の過ちが2ヶ月間ほど自らを苦しめ続けた. 作業自体の物量よりも事前に計画した間延びしてしまったスケジュールと実際のスケジュールとのギャップでどうしても手が空いてしまう時間に苦しめられていた. 検品や梱包の作業が長引けば長引くほど他のやりたいことの時間が削られてしまう. 更に各作業が中途半端な時間の食い方をしてしまうため,なんとか短期集中でやっつけてかなり予定を繰り上げ発送まで漕ぎ着けた. しかし,発送は終わったとは言えGB自体はその後の初期不良などのサポートまで続く. 幸い1件もそういった報告はなくなんとか無事初めてのワンマンGB開催は幕を閉じた.

このときにはFeuille64のレイアウトや基本設計が概ね固まっていた. A12のGBで手が埋まりながらも同時並行で設計は進む.

Feuille64の詳しいことは以下の記事にまとめている.

yynmt.hatenablog.com


6月

モチベーションが落ちたまま少しずつ作業を続けていたRetopology65はPCBの製造不良などがありどんどんスローダウン. 結果,ファームウェアも準備せずものすごく雑に初期ロットだけを販売する形となってしまった. もし興味がある方がいればオープンソースにしてもいいので引き継いで貰えると嬉しい. KiCad6であればボトムプレートのデザインも容易に再現可能なはず.

処女作のDozen0からFeuille64までのロゴ振り返り. 実は既存のフォントを利用していないロゴが多い.


7月

この月で一気にFeuille64が完成に近付いた. 依頼していたイラストが仕上がってそれをPCBへ落とし込む作業を短期間に一気に進めていた.

これはボトムプレートの赤レジストのPCB. これが何になるのかこの時点で気付いていた人はいるんだろうか. 工場の製造ガイドラインは守っているもののこんなの製造してもらえるのかヒヤヒヤしながら発注を投げていた.

A12やA70と同じ構造のケースも設計して完成形が見えていた.

そして7月の最終日,唐突に完成形をお披露目した. キーボード界隈だけでなくその他の方面からもそれなりの反響があったように思う. このときとある方から唐突に「是非買いたいです」とTwitterでDMをいただき11月へ話が繋がる.

サビ塗装を施したドラネッツもちまちま組み立てていた. 実はドラネッツの作者とはちょっとした知り合いなんだけどもそれはまた別の話… キーボードのケースにも行っているこのサビ塗装の現物はまだ誰にも見せていない気がする.

そういや東京オリンピックがあったのも2021年… たぶんこれは鍵盤投げ60%級のピクトグラム.


8月

Feuille64が完成して間もなくdadittoの設計が開始. 32u4の入手性が悪くなっていたのもあって32u2でこんなの作れないだろうかという思い付きが発端.

ノリで追加したスピーカに後々苦しめられることをこのときはまだ知らないし,このスピーカが動作確認時に大いに役に立ってくれることもまだ知らない.

dadittoに関しては以下の記事に少しまとめている.

yynmt.hatenablog.com

Feuille64を販売し1時間ほどで全数完売. 元々用意していた数も少なかったがまさかこんなにすぐ売り切れるとは思ってもみなかった. 64キーのMIDIパッドという点に惹かれて購入してくださったのか,はたまたボトムプレートに惹かれて購入してくださったのか. どんな人がどんな用途を想定しているのか知りたいところではある.


9月

Feuille64がMIDIアルペジエータとして動作するhsgwさんに作成していただいたファームウェアが最高にイカす. 適当に触っているだけでも面白いのでFeuille64をお持ちの方は是非遊んでほしい.

dadittoにノリで追加したスピーカは現行のQMKでは鳴らすことができないと発覚. dadittoを試作する前にテスト基板でテストを行っていて本当によかった. QMKのコアへ少し修正を加えることで解決はできたが少々手こずった.

一方で3Dプリントケース含めた外観はほぼ完成形に. 最終的に上から2段目の壁厚2mmのものと3段目の壁厚5mmのものを配布することにした. 配布はデータ配布として自前で3Dプリントを行ってもらう方式.

2020年の同じく9月よりカメラ機材をCanonからSonyへ順次移行している. ZV-E10はボディだけであれば公式ストアから7万円を切る価格で販売されていたので予約して発売日に手に入れた.

元々小型なα7cと比較しても一回り小型で想定している用途に最適だった.

想定している用途というのは普段仕事で使用しているZoom用カメラの置き換え. レンズはSIGMAのContemporaryラインのレンズ16mm f/1.4をマウント違いで用意.ボディをCanonのEOS Kiss Mから乗り換えた. AF速度がとにかく爆速でHDMIのクリーンアウトも可能なのでAtem miniを活用することができる. 背景のボケ味がもう少し強いとよいがAPS-Cだと限界があるのでいつかα7cに置き換えてしまうかもしれない.


10月

Googleがエイプリルフール企画で湯呑み型のキーボードを発表していた. 設計はIKeJIさん. 基本的な設計が自作キーボードのそれと同じだが特徴的なのが螺旋状になっているキーマトリクス. これを理解するのに少々時間を要した.

誰かQMKで動かしたりLEDで光らせたりしないかなと言っていたら自分でやっていた. 言い出しっぺの法則. メインPCB部分に広くスペースが空いていたのでついでにスピーカを乗せて音が鳴るようにした. 修正を入れたデータはオープンソースにするべきなんだろうけど相変わらずKiCadのプロジェクトが散らかっているので難しそう. 3DプリントケースなどはGoogle公式にはないようだったのでいつもの要領でPCBのサイズに合わせて1から設計を行った.

修正作業着手からぴったり3週間で虹色に光る湯呑みキーボードが完成. ゲーミング湯呑みみたいなものを目指していたものの,MBKプロファイルのキーキャップがPA12GBのブラック磨きで3Dプリントしたケースと相まって手榴弾と呼ばれた.

湯呑みキーボードは「散財は人生や」でおなじみの散財TV なおしまさんに1セットお送りした. 表面実装部品をリフローして実装しているので,後はキースイッチのハンダ付けとPCB同士の力技によるハンダ付けで完成するキットのような状態. ついでに色々とキーボード関連のPCBだったりしょうもないステッカーだったりを同封したらなんと動画にしていただけた. 非常にありがたい.

www.youtube.com

ほとんど完成しているもののスピーカ周りで手こずっていたdadittoは小規模なGBを開催することに決定. 商品写真に用いたDSS-Lights outのデザイナーのDanさんがGBに参加してくださったらしく連絡をいただいた. そんなご縁があって来年はちょっとした何かが実現できるかもしれない.


11月

7月末に届いたTwitterのDMの話がここに繋がる. 昔から見ていたYouTuberの瀬戸弘司さんからだった. ボトムプレートのイラストを描いてくださったどぅびさんや設計途中にいくつも助言をいただいていたhsgwさんに向けて,いくつかサンプルを用意していた. その内の1台を瀬戸さんにお送りしたらなんと以下の紹介動画と組み立て作業を長時間ライブ配信していただけた.

www.youtube.com www.youtube.com www.youtube.com

コメントで酒を冗談で勧めたらビールを飲み始めてしまったり,64個のLEDを一発で実装成功してしまったり,タクトスイッチの実装位置を間違ってハウルの動く城が誕生したり,志倉千代丸さんが人生初スパチャ?を無言で飛ばしていたり見どころたくさんのライブ配信だった.

瀬戸さんの反響は大きく,自作キーボード界隈の外からも欲しいという声が複数届いたため再販を行うことにした. 実質的にA12,dadittoに続き2021年3件目のGB開催である. しかもdadittoと同時並行作業が一部発生するため年末にかけては,手が空く度に自分の首を締めることになった.

瀬戸さんついでにこれも書いておこう. LEGOブロックのレゴアートというシリーズで展開されているキットを用いて瀬戸さんを作っていた. 瀬戸さんがFeuille64の動画を公開したタイミングと完全に被っていたがまったく図っておらず偶然タイミングが重なった. Style Transferでいい感じに色を合わせた画像をLego Art Remixに放り投げるだけでできる.

JLCPCBで新たに始まった3Dプリントサービスをdadittoの3Dプリントケースでテスト. 品質は価格に見合わずかなり良好. DMMの品質と比較しても遜色なくあと何度かテストして問題なさそうであればキットに付属してもよい品質.

色々大変だったdadittoのスピーカは無事に音が鳴る. ノリで追加したスピーカに思わぬ工数を奪われたが音が鳴って楽しいのでよしとする.


12月

そして師走. 2年ほど使っていた名刺を一新した. この名刺はBoothなどで購入していただいた方向けに梱包にくっつけているショップカード的なもの. 283kgのプライク紙に両面箔押しなのでちょっとだけお高く付いてしまったが,かなり満足な出来に仕上がった.

これを書いている今もまだ少し作業が続いているキラキラシール貼り,もといPCBの動作確認作業. テストファームやVIA対応ファームを焼いてはキーが反応するかを確認していく地味な作業. dadittoとFeuile64の作業がいい感じに同時並行していたので検品・梱包作業が12月は途切れなかった.


まとめ

キーボード以外のことについてほとんど触れていないがカメラに関して追記しておくとα7IVを購入済み. 予約を忘れておりやや出遅れてしまい手元に届くのがいつになるかはわからないが手元のレンズとボディは一通りCanonからSonyへ乗り換え完了となった.

2020年には取り組んでいたArtisan制作はGBを走らせていた影響で一切着手することなく1年以上経過してしまった. 色々と制作のアイデアはあったものの時間が空いてしまうと途端に億劫になる. 何か思い出したかのように再開するかもしれないししないかもしれない.

GBを3件走らせていた影響で特に下半期は設計よりも検品・梱包が作業の主となってしまったので2022年はここを改めたい. そして2022年には過去に作ったいくつかを今までのスキルでやり直せる範囲で設計を見直していきたい. Acperience12に始まりFeuille64,dadittoと3Dプリントケースを用いた設計を取り入れてきた. 具体的にはDozen0にこの設計を取り入れられないかと考えている. 他にも1つ設計を見直したいがこれはKiCad6次第.

Acperience70 spec_02の構想だったり,その他作りたいものがいくつかあるので,2022年も引き続き今のペースで設計を進められればと思う.

この記事はAcperience70で書きました.